
公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
日本政策金融公庫は、100%政府が出資している金融機関です。
三つの主要機能のうち、国民生活事業は小規模事業者への融資を主要業務としています。
この小規模事業者には個人事業主も含まれます。
ですので、主要事業の事業内容に個人事業主への貸付業務も含まれているので、個人事業主でも日本政策金融公庫から借入をすることは可能です。
それを主要業務としているので、胸を張って融資申込をしてください。
法人の場合に比べて融資金額が少なくなるとか、金利が高く設定されるということはありません。
ただ、実際に融資を受けられるかどうかは、個別の審査の判断となります。
新規開業資金か一般貸付が、適用される融資制度となります。新規開業資金には、創業融資制度も含まれています。創業融資は、金利や個人保証などについて優遇措置があります。
ただし、この制度は事業開始後7年以内の方が対象なので、7年を超えている方は、一般貸付が適用されます。実態としては創業であっても、たまたま開業届を出して事業開始後、7年を超えてしまっていると一般貸付の対象となります。だからといって悲観する必要はありません。担当者の方が、最適の制度を探し出して適用してくれますし、金利や返済期間も公的金融機関らしく有利に設定されています。個人事業主へ資金提供するのは、国民生活事業の主要機能の1つですし、長期にわたる事業継続を支援することが目標ですので、事業開始後7年を超える個人事業主の方でも、審査が不利になることはありません。
逆に公的金融機関なので、必ず貸してくれるものと誤解されている方もいますが、一定の判断基準に基づいた審査があり、それを通らなければ、融資は受けられません。
この判断基準は、複雑であるため公表はされていません。
しかし、おおむね、民間金融機関に比べればとても緩やかです。
審査の判断基準は、
これらを総合的に考慮して融資の可否は判断されます。
論者によっては自己資金を強調する方もいますが、わたくしどもは、創業融資は事業経験がしっかりしていれば貸さざるを得ないものと解釈しておりますので、自己資金は3番目に挙げています。
事業経験とは、創業予定の事業における経験です。
事業経験のある人ほど、成功する確率が高いことが過去の事例から確認されているため、日本政策金融公庫の審査では、とても重視されています。
ここがしっかりしていれば、後述の自己資金が不足していてもなんとかなります。
事業経験にマネージャーとか課長とか役職経験がある場合は、事業経験の質が高いことをアピールできるので、必ず記述してください。
表彰や高い営業成績を示す資料が残っていれば、必ず面談に持ち込んでください。これらは、とても訴求力のある資料です。
事業経験がない場合は、土日アルバイトで勉強しているとか、事業経験のあるスタッフと一緒にやる約束ができているといった補完対策があることをアピールしてください。事業経験もなければ、現時点で習得努力もしていないとなると審査はかなり厳しくなります。
創業計画書では、事業の内容を詳細に記述する必要があります。審査では、まず、この創業計画書をしっかりと書いて、日本政策金融公庫に事業内容やその見通しを理解してもらわなければなりません。公的金融機関とはいえ、貸したお金が流用されたり、返ってくる可能性が低い人には貸してくれません。事業内容がしっかりとしており、資金使途と返済能力に問題がないことを理解してもらう必要があります。
フォーマットや記入例は、日本政策金融公庫のホームページにあります。
相手が公的金融機関だからと言って、この手間を省いてとにかく貸してもらいたいと駄々をこねても、単に謝絶されるだけです。この点は、過小評価しないでください。ただ、記述内容は、書く意思があればしっかりと書ける項目ばかりなので、がんばって書いてください。
事業経験と創業計画書の記述がしっかりとしていれば、創業融資はほぼ成功します。
日本政策金融公庫の記入例は、出来があまりよくないので、『創業計画書の書き方』もぜひご参照ください。
自己資金とは、自分でこつこつとためてきた資金です。
統計的には、自己資金の2.5倍から3倍が、融資可能額です。
『新規開業資金』の形式的な要件には、自己資金要件はありませんが、不文の実質的な審査基準において自己資金は、求められています。
自分で貯めてきたものかどうかは、半年から1年分の過去の通帳をチェックされてしまうので、ごまかせません。
公庫の担当者によっては、自己資金が不足していると準備不足と一蹴されてしまうことがあります。
ですので、自己資金はしっかりと準備する必要があります。
しかし、自己資金は、親からの贈与等、増加させるテクニックはいくつかあります。
当サイトの『創業融資の自己資金を増加させる方法』をご参照ください。統計的には融資可能額は、自己資金の3倍弱ですが、事業経験等を巧みにアピールできればさらにその倍額ぐらいまでは可能です。
信用情報とは、債務整理、借入の延滞や、キャッシング・クレジットカードローン・消費者金融などの高金利ローンの有無です。
日本政策金融公庫は、信用情報機関を使って調査するので、隠すことはできません。
CICを使えば、自分でも信用情報を確認できるので不安のある方は確認しておいてください。
信用情報に傷があっても、すぐに融資が断られるわけではありません。ほかの要素と総合的に判断されます。携帯料金をうっかり払い忘れたことがあるという程度であれば、問題にされないことが多いです。
申込み手続きがわからないことがあれば、相談ダイヤル0120-154-505に電話しましょう。
支店でも対面やオンラインで事前相談にのってくれます。
融資の流れは、『申込・必要書類提出→面談→審査→結果通知→融資実行』です。
必要書類の提出は、インターネットが主流となっています。
具体的な流れは、『日本政策金融公庫の創業融資の手続の流れと必要書類』をご参照ください。
主な必要書類は以下の通りです。
まずは、借入申込書を提出して、必要書類については、不足していれば、日本政策金融公庫の担当者から連絡があります。
しかし、必要書類の提出が遅くなる分だけ、融資の実行が遅くなるので以下の書類で該当すると思われるものは、早めに用意しておきましょう。
ただ、申込者の状況や担当者によって必要書類は異なりますので、必ずすべてが求められるわけではありませんし、また、追加の資料が求められることもあります。
借入申込書、創業計画書、企業概要書のフォームは日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできます。ネット申込の場合は、必要事項を入力するので別途借入申込書を提出する必要はありません。
面談では、創業計画書や企業概要書の内容について聞かれます。
礼儀正しく、淡々と感情的にならずに、担当者の質問に丁寧に答えてください。
事業が成長して追加融資が必要となったときの練習にもなります。
『創業融資の面談で絶対に守るべきこと』をご参照ください。
個人事業主だからといって法人よりも、借入可能額が不利になることも、有利になることもありません。
ただ、公庫の『新規開業資金』の融資限度額は、設備資金なら7,200万円、運転資金なら4,800万円ですが、創業融資で実際に借りられる金額はこんなに大きくはありません。
創業計画書で事業計画から導き出された金額が、借入希望額です。まず、借りられる金額は、この融資希望額に制約されます。たとえば、資金が豊富すぎて、自己資金で設備資金や運転資金をカバーできてしまう場合は、借入はできません。
あとは、自己資金の額や、事業経験などを考慮して総合的に融資可能額は判断されます。
自己資金が大きく、事業経験が長く高度なものであればあるほど、融資額は大きくなります。
個人事業主だからといって別に保証人を立てろという発想は、日本政策金融公庫にはありません。
創業融資であれば、基本的に保証人は、求められません。
しかし、第三者保証は求められませんが、個人で借りているので、法人の場合と違って、事業が倒産しても債務は免責されません。逆に倒産した場合には、契約に基づき一括返済を求められる場合があります。ただ、公的金融機関なので、強制執行などの法的手段をつかって回収することは稀です。
まれに審査のプロセスが開業届を出せと言われることがあります。
個人事業主は、定義としては開業届を税務署に提出した人です。
しかし、なかには、提出を失念していた人もいます。
単に失念しており、その後、確定申告書をちゃんと提出し、納税していれば、多くの場合問題はありません。
しかし、開業届を提出しなかった理由が、納税の回避である場合は、厳しくみられます。
日本政策金融公庫の原資は、政府の財政投融資が元となっているので、税金を払っていない人には、貸してくれません。
サラリーマン時代から期間がたっており、その間の確定申告書がなく、開業届もないとなると租税回避とみなされて、一円も貸してもらえない恐れがあります。
サラリーマンとしての源泉徴収票も確定申告書の控えもない空白期間がある場合は、まずは過去の納税関係を整理しないと、日本政策金融公庫から融資を引っ張ることはできません。
源泉徴収票も確定申告書の控えもない空白期間がある場合は、税理士に相談して過去の申告手続きをすばやく処理してください。ただ、下手をすると重加算税を賦課され、融資が受けられなくなるので慎重に処理をしてください。