公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
創業計画書の書き方は?創業融資成功のコツを詳細に説明!
なぜ、創業計画書を書くのか?
金融機関の論理は単純です。
「返せそうな人には金を貸す」です。
返せるかどうかは、通常は、決算書で判断します。
ただ、創業したての企業は、決算書がないので、判断はできません。
ですので、本来は貸すことはできません。
しかし、貸さなければ、日本の開業率はあがりません。
そこで、創業計画書という青写真だけで判断して、なんとか救いあげようとしています。
決算書で判断したいが、決算書がないから仕方なく創業計画書で判断しているのです。
多くの創業者は、このことを知らずに、その創業計画書をいい加減に書いて失敗しています。
ただ、やみくもに創業計画書を作っても、効果はありません。
創業計画書は、借金を返せそうだということを示すツールなのです。
事業戦略の6個のポイントをまず考えましょう
いきなり創業計画書に記入するのはよくありません。
事業計画が思慮の浅いものとなり、パンチ力がとても弱くなってしまいます。
面談でも、ちょっとつっこまれてあたふたすることになります。
まずは、事業戦略の基本についてじっくり考えましょう。
まずは、次の6つの経営課題について、仮説や前提をおいてかまいませんので、構想してみてください。各経営課題をいったりきたりしながら、基本的な全体コンセプトをまとめてゆきましょう。
- 市場のどの特定マーケットを攻めるのか。創業企業が市場全体を攻めても勝てません。特定マーケットに集中する必要があります。
- そのマーケットには、どんな競合がいるのか。競合に対してどんな差別化を図るのか。コスト競争力か付加価値のどちらかで差別化しなければ創業企業は生き残るのは困難です。
- 製品やサービスの内容を具体的にイメージする。営業手法から、製品・サービスの製造までビジネスフローを具体的に設計する。
- 売上と経費はどれぐらいかかるか。毎月どれぐらい利益が出るか。売上を『売上数量×売価』で個別に積み上げ、経費を網羅的に予測して、利益を十分に確保できるかを検証する。
- 資金使途と調達方法を明確化する。設備資金と、ビジネスが軌道に乗るまでの運転資金の合計が必要な資金である。その必要資金を自己資金で賄えるか否かを検討する。不足するなら、その不足額をどうやって調達するか。不足額は基本的には創業融資により借り入れるしかないが、借入以外に親からの贈与や、友人・知人からの出資などの可能性も検討する。
- 返済財源を明確にする。毎月の借金の返済額はどれぐらいになるか。返済可能な利益を確保できるか。
基本的なコンセプトが決まったら、創業計画書の作成に着手しましょう。
以下、日本政策金融公庫のフォーマットに沿って解説いたします。
制度融資の創業計画書も基本的な作りは、全く、同じですので、日本政策金融公庫の創業計画書が完成すれば、問題なく、制度融資の創業計画書も完成します。
公庫の記入例をまねてもよい創業計画書はできません
日本政策金融公庫は、創業計画書の記入例を公開しています。
正直にいって出来がよくありません。
上記の事業戦略がちゃんと練られていません。ですので、記述の説得力がなく、事業の構想があいまいです。
また、資金繰り計画や長期損益計画が添付資料されていません。これらの添付資料は、審査担当者によっては、必須添付資料だとさえ言っています。
ですので、公庫の記入例をまねて創業計画書をつくっても、審査を落とされることがあります。
『創業の動機』の書き方
次のポイントはできる限り抑えてください。
- 創業するビジネスに情熱がある
- 創業にむけて計画的に行動してきた。場当たり的な創業ではないことを強調してください。
- 事業の強みの基礎となる事業経験がある。サラリーマンとしての営業実績、潜在顧客を示す資料があるなら書ききれないので添付してください
高尚な使命感をどんなに熱く語っても審査担当者は、百戦錬磨ですので、真に受けません。
しかし、少なくともあなたのことをまじめなやつだとは思ってくれます。
まじめな人と思わせることは、融資審査では意外に重要です。
だれでもビジネスとやりがいとを両立させたいと思っているはずです。その良心の部分を、照れることなく、まるで他人をほめるように書き綴ってください。イタリアンレストランを経営したいなら、『イタリアンの文化が好きで、日本人にもっとイタリアのよさを味わってもらいたい』とか、思いの部分を堂々と語ってください。
『経営者の略歴等』の書き方
開業するビジネスで十分な経験があるかたは、自分の経歴を積極的に記述してください。まるで尊敬する人物を誉めそやすように書いてください。注意していただきたいのは、経験がおありになる方ほど、自信があるせいか逆にあっさりと記述してしまうことがありますが、手短にそっけなく履歴を書き並べるのは禁物です。能力、経験、各役職のときの業績を狭い紙面をぎりぎりまで使って大いにアピールしてください。部課長、支店長、料理長といった役職は、高度の事業経験があることを示しますので、書き忘れないでください。
とくに営業成績がよくて会社からの表彰をうけた等の事業経験は、忘れずに記述してください。
審査担当者は、営業関連の経験を高く評価する傾向があります。
売る能力があれば、企業はとりあえず生き残れるからです。
直接の事業経験がなくとも文字で埋めつくしてください。ばか正直であれば評価されると考えるのは誤りです。 直接的な経験がなくとも、間接的な経験がある場合はあるはずです。
ラーメン屋を経験がないのに開業するとしましょう。正社員として経験がなくとも、アルバイトをしていたことがあるとか、サラリーマンのときに顧客がラーメン屋でいろいろ経営改善のアドバイスをしたとか、関連する経験を記述してアピールするべきです。 自己の経験のなかでスタートするビジネスにつながる経験がなにかあるはずです。それを引き立てて記述するようにしてください。
経験した業種が異なっていても、営業・マーケティング・商品開発・人事管理、利益管理などのスキルは、異なる業種でも使えますので、必ずアピールしてください。
『取扱商品・サービス』の書き方
取扱商品・サービスの内容
審査担当者は、理解できない事業にはお金は貸しません。ですから、商品・サービスの分類、概要を記載するだけでなく、実物や写真を見せたり、図やチャートを創業計画書に添付したりして、取り扱っている商品・サービスを具体的かつ明瞭に説明してください。ここでのポイントはわかりやすさです。友人や家族に見せて、その商品やサービスの説明が分かりやすいかどうか確認してください。
特に、一般消費者向けでないビジネスやIT系のビジネスの場合は、融資担当者がよく理解できなくて評価が大幅に下げられることがあるので、ビジネスの流れを示す図やチャートを添付してください。 融資担当者があらゆる業界の基本がわかっていると考えるのは大きな勘違いです。
セールスポイント
『セールスポイント』もつまづかれる方が多いところです。いわゆる差別化要因を書かなければならない場所ですが、この差別化要因をがんばってアピールしようとしてちぐはぐな表現になってしまう方が結構います。差別化といわれてもどうしてもぴんとこない人は、無理をせずに、そのビジネスにおいて絶対にクリアしなければならないビジネスルール、守らなければならない基本を確認するといった程度の姿勢で書かれたほうがよいでしょう。
たとえば、運送業のセールスポイントなら
- 時間を厳守
- 礼儀正しく
- 安全運転
- 運送物や建物を傷つけない
となるでしょう。そのビジネスの基本は何だろうと問いかけるだけで、逆に、差別化要因を明確に意識することができるのです。
ただ、できれば、顧客を絞った上で、パンチのある差別化戦略を構築してください。その方が、担当者の印象は格段によくなります。競争相手に打ち勝つためには、ターゲットを絞り、そのターゲットが望む付加価値を提供しなければなりません。価格も競争的である必要があります。競合他社よりも高付加価値である上に、もっと安い。それにもかかわらず利益は確保できると主張できれば、審査は、とても有利になります。この差別化要因は、上記の事業経験に裏打ちされていなければなりません。経験があるから実現可能だという論法です。さらに注意しなければならないのは、その差別化要因が、顧客の視点に立っており、かつ持続可能であるということです。顧客のニーズを忘れてひとりよがりな付加価値を空想したり、あるいは、すぐに競合にまねされ追いつかれてしまう差別化要因を想定しても、意味はないのです。
販売ターゲット・販売戦略
創業企業が市場全体に対して漠然と製品やサービスを売っても経営資源に限りがあるので、生き残りは困難です。
特定の市場に戦力を集中する必要があります。
まず、ターゲットを絞ってください。このターゲットは、差別化要因をとくに強く発揮できる特定の集団でなければなりません。
審査担当者は、ターゲットを絞っている起業家を好みます。
さらに、そのターゲット市場が伸びていることをアピールできればとても有利です。
添付資料をつかってその特定市場が拡大していることを示してください。
次に審査担当者は、営業力のある創業者が好きです。ですから、具体的な販売手法についても記述してください。売れなければ企業は生き残れません。売るための具体的な手法を記述してください。DM、ちらし、広告、インターネット広告、イベント、紹介営業、テレアポ等の販売手法の詳細について説明してください。視覚的に販売手法を示せる資料があれば、ぜひに創業計画書に添付してください。不特定多数の顧客へアタックする具体的な方法があることを創業計画書上でアピールすることはとても大切です。
競合・市場など企業を取り巻く状況
国の白書とか、各種の調査会社の資料でピンポイントのものがあれば使って下さい。飲食店やサービス・IT系のビジネスだと、該当地区や当該ビジネスの統計資料は探してもないことが多いので、その場合は、自分の足で通行量とか顧客層について実地調査して報告書にまとめください。フォーマットはなんでもかまいません。文章もへたでもかまいません。箇条書きでも結構です。審査する側はあなたの文章力を判断しようとしているわけではありません。審査担当者は、あなたが、伸びている特定市場でビジネスを開始しようとしていること、それがゆえに失敗する確率が低いこと、貸したお金が戻ってくる可能性が高いことを知りたいのです。これらの事実を添付資料で示せれば、マーケットがわかっている起業家だなという印象を与えられます。
『取引先・取引関係等』の書き方
次に、「ご予定の販売先・仕入先」の記入方法です。
販売先については、これから営業をかける潜在顧客でもよいので、列挙してください。 空白は絶対にだめです。
販売先から、発注書とか契約書とか入手できるのであれば、それを創業計画書に添付すれば、強力なアピールになります。
もし飲食業などで、顧客が不特定多数であるなら、顧客の名前をいちいちあげることはできません。その場合には、前職での営業成績をアピールしてください。当時の資料が残っていなければ、自己作成の資料でもかまいません。
『従業員』の書き方
役員や従業員の予定人数を記入します。
あとの、事業の見通しと整合性のある数字を記入してください。
ただ、従業員をまったく雇用しなくともビジネスプランに整合性があれば、お金は、貸してもらえるので、無理を雇用予定数を大きくする必要はありません。
『お借入の状況』の書き方
どっちみち、信用調査で把握されてしまうので、正直に記入してください。
『必要な資金と調達方法』の書き方
資金計画を記述する場所です。資金の調達方法と、使途を書きます。右側が調達方法で、左側が使途(投資計画)です。さらに、調達方法は、自己資金と借入に分かれます。借入はこの場合は、創業融資による借入となります。使途は、設備資金(店舗・工場など)と運転資金(商品代金・経費など)に分かれます。
自己資金とは、返済不要な自分のお金のことです。会社なら資本金と資本剰余金に該当します。保証金の支払いなどに一部をつかってしまっていても、減額する必要はありません。親や親類から自己資金を支援してもらっている場合には、贈与を受けていることを示す書面(贈与契約書)を用意する必要があります。贈与であることが明らかでないと、借入扱いとなり、融資金額を減額される恐れがあります。自己資金が不足していても、創業計画書の内容がとてもしっかりとしているために、十分な創業資金の融資に成功された経営者はたくさんおられますし、みなし自己資金、贈与、事業関連者からの出資、現物出資等の手法により、自己資金扱いとしてもらう資金を膨らませることもできます。
設備資金(店舗・工場など)は、建物、器具、車両、機械、ソフトウェア等への投資です。賃貸物件の保証金もここに入ります。設備資金については、裏づけとなる見積書、領収書を見せてほしいといわれるので、きちっと整理しておきましょう。
運転資金(商品代金、経費など)には、開業費用(賃貸物件の礼金、仲介手数料、求人費用、ちらし、ホームページ作成費用等)と、ビジネスが軌道にのるまでのつなぎ資金があります。つなぎ資金は、創業の見通し(収支計画1年目)の経費総額の2~3か月分が必要とされます。想定した売上入金がはいるようになるまでの期間を乗り切るための資金です。つなぎ資金は、経費総額と整合性がないと借入申し込み額を減額されてしまうこともありますの注意してください。
設備資金と運転資金の合計から、自己資金を引いた金額が借入をしなければならない金額、すなわち、創業融資制度に対する融資申込み額です。
左右の金額の合計は当然のことながら一致しなければなりません。右側の調達額の合計が大きければ、お金があまるだろうと判断されて借入予定額が減額されるし、左側の使途の合計額が大きければ、資金的な手当てがつかない現実性のない創業計画を立てていると判断されてしまいます。
『事業の見通し(月平均)』の書き方
この部分が、創業計画書のなかでも、融資担当者がもっとも重視する箇所です。この出来不出来で、融資申込者の経営能力が判断されてしまうといっても過言ではありません。この部分が根拠だてて記載され、起業家が実感を込めて説明できるかいなかで、担当者は、借入申込者の返済能力を判断するのです。理由は簡単です。利益の一部が借入金の返済に充てられるので、十分な利益を確保できそうもない計画を立てる経営者は、借金を返済できないとみなされるからです。ですから、創業当初(1年目)から、借入返済をしてもやっていける計画となっていなければなりません。
資金繰り計画は必ず添付してください。審査担当者は、資金使途と返済財源の二つのポイントから可否を検討します。ともに、資金繰り表が添付されていると強くアピールできます。資金繰り計画表は添付するだけでポイントが上がります。さらに、審査担当者は、計数感覚の強い経営者が好きなので、創業者が資金繰り計画の内容についてよどみなく答えることができれば、強力にアピールすることができます。
以下、勘定科目ごとに記入の仕方を具体的に解説します。
①売上高
算出根拠を具体的に数値を入れ込んで説明するのがこつです。 売上を生み出す数量的要素から売上目標を立てるのです。業種ごとの売上高の目標の設定の仕方を以下に挙げます。
- 小売業 (坪当り売上高)×(店舗面積)=(売上高)
- レストラン (客単価)×(席数)×(回転数)=(売上高)
- 商社 (営業マンひとりあたりの売上)×(営業人員)=(売上高)
- 製造業 (主要な設備の生産能力)×(設備の台数)=(売上高)
この数式を右側の根拠の欄に記入してください。要は、売上目標が、いい加減な目見当ではなく、売り場面積とか席数から客観的に算出しているということを示す必要があるのです。
売上単価は、業界特性だけでなく経営者の戦術、ねらっている顧客の消費・購買パターンの影響を受けます。自分の戦略にあった売上単価や売上数を記載しないと現実味のない創業計画書になってしまうので要注意です。
売場面積、席数、生産能力は設備投資額と矛盾がないか必ず検討してください。
商社の営業人員も、人件費と矛盾がないように計画してください。売上と人件費に整合性がないと計画そのものの信頼性が失われてしまいます。
業種ごとの財務データについて、以下の日本政策金融公庫のデータをご参考にしてください。
必要な売上高の算定方法
売上はどれぐらい必要でしょうか。少し複雑ですが、最低限必要な売上高は次式で算定できます。
【設問】たとえば、次のような会社を想定しましょう。
- 人件費・地代等の経費合計額が、金利を含めて月に100万円発生する。
- 借入額が700万円。返済期間7年。月次返済額8.3万円。
- 商品原価率8割。
【答え】
必要最低の月次売上高=(100万+8.3万×1.7倍)÷(1-80%)=570万円
なお、この金額はあくまで収支とんとんとするための最低売上高です。成長資金が必要ですから、売上はこの金額以上である必要があります。
また、正確には、非現金支出費用(減価償却費、引当金繰入額等)、運転資金増加額、設備投資額を考慮しなければなりませが、創業計画書ではほとんどの場合は、そこまで考慮する必要はありません。
②売上原価
売上原価とは、売上をあげるために直接的に要したコストです。小売や商社なら商品原価、飲食店なら材料費と料理人の人件費、製造業なら製造原価(材料費、製造人件費、製造経費)です。上記の日本政策金融公庫のデータ、中小企業庁から出ている統計資料や、よく本屋で売られている開業案内本にその業種における平均的な売上原価率が例示されています。
算定根拠は、右側の根拠欄に必ず記載してください。調べても該当する業界を見つけられなければ、類似業界から推測することになります。あまりとっぴな原価率は変だなと思われるのでなんらかの参考資料を調べてから原価率を決めてください。
③経費(人件費、地代家賃、光熱費、減価償却費、その他経費)
とくに重要なのが人件費です。売上を実現するための人員は最低、何人必要なのかを考えて計上する必要があります。売上と人件費(人員計画)とがバランスしていないと、担当者は、あなたのことを現実的にビジネスを計画できないひとだと判断するおそれがあります。
売上を維持するために正社員とアルバイトが何人必要なのかを考え、その必要人員から人件費を算出する必要があります。この算出式は、必ず、右側の根拠欄に記載してください。
人員に人件費単価を乗じて月の人件費総額を算出します。
- 正社員: 人員×月額給与
- アルバイト: 人員×時給×1日当たりの労働時間×月あたりの労働日数
家賃(地代家賃)については、借りる予定の物件の賃料を計上します。
そのほかの水道光熱費、旅費交通費、消耗品費、通信費等の経費は、上記の中小企業庁から出ている統計資料や、開業本にそれぞれの業界における売上高比率が掲載されていますのでそれを参考にしてください。これらの経費の水準が、業界平均の売上高比率と乖離しすぎていると、やはり、現実的な計画力があるのか疑われることになりますので適正な額を計上してください。
減価償却費は、固定資産の取得原価を各年度に振り分けて費用化する会計処理です。
④経費の支払利息
借入希望額に、規定の金利を乗じた金額を12ヶ月で割って1ヵ月の金利を出してください。 たとえば、800万円を金利3.6%で借りるのであれば、利息は月額24,000円となります。正確には返済による元本の減少も考慮する必要がありますが、右側の根拠欄に算出式を書いておけば、そこまで正確に計算する必要はありません。
支払利息の支払や元本の返済は銀行が気にするところなので、正確に計算して損益計画に入れ込んでください。
⑤利益
売上から、売上原価と経費合計を控除した残高が利益です。この利益から税金が払われ、借金が返済されます。ですから、この利益額は、毎月の借入返済額と税金の合計額よりも大きくなくてはなりません。ですので、利益の約70%が借入返済額よりもちょっと大きくなれば十分でしょう。800万円を『毎月返済額10万円×80回』という条件で借りたなら、毎月の目標利益は15万くらいなくてはだめです。約30%ぐらいは税金の支払いに消えるので、10万円の返済をするためには、余計に利益が必要なのです。創業融資制度でも、お金を返済してもらえる創業計画にしかお金は貸してくれません。「利益>税金+借入返済額」となっていないとお金は貸してもらえないのです。税金の記入欄はありませんが、これは守らなければならない記入鉄則です。
※返済原資は正確には、「税引き後利益+非現金支出費用(減価償却費、引当金繰入額等)-運転資金増加額-設備投資額」ですが、創業計画書ではほとんどの場合は、そこまで考慮する必要はありません。
『自由記述欄』の書き方
無邪気に悩みとかは、書かないでください。
ここは、自分のセールスポイントをぶつけるために使ってください。
- 『ユニークな特許、技術をもっている』 技術というのは、とても広い概念です。すべてのひとは、ユニークな特技をなにかもっているので、なるべく記入してください。
- 『営業成績で表彰された』 この場合、証拠があれば面談に持参してください。
- 『受注や潜在顧客リストなど、売上につながる直接的なきっかけがある。』この場合、受注書や潜在顧客リストは、創業計画書に添付するか面談に必ず持参してください。