
公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
創業融資では、自己資金の多寡は大切です。
自己資金が不足しているときの対処方法には、次のような方法があります。
1番と2番については、次の記事でご説明させていただいております。ご参照ください。
ここでは、3番のみなし自己資金で自己資金を増額する方法と、4番の現物出資という方法により資本を増強し、銀行からの評価を改善する対処法をご紹介します。
自己資金不足に対処する方法として、『みなし自己資金』と呼ばれる手法があります。
融資申込前に設備投資や運転資金として使ってしまったお金は、すでに手元にありませんが、自己資金として認めてもらえることがあります。この自己資金のことをみなし自己資金といいます。
たとえば、買いためていた商材や、すでに購入済みの設備です。
手元にお金がなくとも、認めてもらった分だけ自己資金が増額し、その分だけ融資してもらえるお金を増やすことができます。
すでに使ってしまったお金を自己資金として認めてもらうためには、事業目的のために支出されたことを、創業計画書や通帳、証憑を使って説明し、審査担当者を納得させなければなりません。機械、備品、保証金、敷金等の設備投資の場合には、事業目的の支出であることを説明しやすいのですが、運転資金や経費の場合には、事業目的との関連を説明するのが、難しい場合があります。設備は、現時点でも使用しているので説明が比較的容易なのですが、運転資金や経費の場合には、他の目的のために使われた支出ではないことを証明するのが難しいからです。みなし自己資金はどちらかというと例外的な取り扱いなので、創業計画書、通帳、証憑を使って、合理的な説明ができなければ、認めてもらえません。
運転資金として使われてしまった場合も含めて、みなし自己資金として認められた事例は、わたくしどもの経験でも多々ありますが、安易な口頭の説明だけではなかなか認めてもらえないことは念頭に置いておいてください。
通常、会社への出資はお金を払い込みますが、現物出資の場合には、お金に代えてものを出資します。
現物出資をする場合には、原則として、裁判所が選任した検査役の調査が必要とされています。この検査役の検査は、非常に手間がかかりますので、以前は、現物出資はあまり実施されませんでした。
ただし、新会社法では、以下のいずれかに当てはまる場合には、検査役の調査が不要となっています。
通常は、1の規定を使って、現物出資額を500万以下に抑えて検査役の検査を避けて、現物出資を行います。
銀行もこれらの現物出資された資産が、事業に使われた場合には、自己資本の増加とみなしてくれます。
ですから、パソコン、ソフトウェア、事業用自動車などを現物出資することにより、資本を増強し、銀行の評価をあげ、借入可能額を増額することができることがあります。 事業用の資産を現物出資して、実際に事業用として使っていることを理解してもらえれば、格付けを大幅に改善することができるのです。
特に、日本政策金融公庫や制度融資で創業融資を借りるときには、自己資金(資本)の多寡で調達可能額が決まりますので、この方策は大変に有効なときがあります。
現物出資できる財産とは、動産、不動産、有価証券(国債・社債・株券など)、鉱業権、漁業権、工業所有権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)、債権(貸付金など)、営業の全部又は一部、得意先・営業上の秘訣などです。
車両、パソコン、事務機器、不動産にかぎらず、幅広い資産を現物出資可能です。
不動産等を現物出資される場合には、取得する会社側には不動産取得税、登録免許税が課され、出資者側には譲渡所得税が課される場合がありますので、メリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。
ほかのところでリカバリーしてください。
実は、方法はいろいろとあります。
わたくしどもがサポートした事例でも、こういった対策によってリカバリーできた成功例は少なくありません。決して、諦めないでください。
公庫と制度融資のどっちかから融資を引き出そう考えてダブルで申し込み、結果として双方から融資決定をうけ、かつ、上記のリカバリー対策を駆使した場合には、自己資金の6倍ほどの資金の調達に成功した事例は、多々あります。
ただ、この場合は、スケジューリングが適切でないと、創業計画の修正を求められ、公庫か制度融資のどちらかの融資がうまくいかなる恐れがありますので、ご注意ください。
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