クラウドファンディングで創業資金を確保できるか?

この記事を書いた人
工藤聡生

公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。

クラウドファンディングとは、crowd(人々の群れ)とfunding(資金調達)を組み合わせた造語です。
企業のプロジェクトに賛同した、不特定多数の人々から、資金調達をする行為です。
通常の資金調達は、借入の方式によるか、株式を発行して、会社の持ち分の一部を与えなければなりませんが、クラウドファンディングの場合は、これらの従来型の資金調達に加えて、物、サービスを対価とする場合がおおく、支援者が社会的使命に共感してもらえるときは、寄付型により、対価を支払わずにすむ場合もあります。
対価が、物やサービスである場合は、アイディア次第では、原価をかなり低く、抑えることが可能です。
クラウドファンディングでは、より小さな対価で、より大きな資金を調達することができることがあります。
ですので、自己資金が不足していたり、創業融資も十分に調達できない場合に、ビジネスをスタートするのに必要な追加資金を調達するのに、利用することができます。

クラウドファンディングにより、自分のアイディアが、世間から支持されるかどうか判断することもできます。
支持を得られれば、それは大きな自信につながり、事業協力者が得やすくなります。
支持者が、将来の顧客となってくれることもよくあります。
クラウドファンディングは、マーケティングとしても、使うことができるのです。

クラウドファンディングは、完全成功報酬ですので、資金調達ができなければ、代行業者への料金は発生しませんし、また、事業経験もいりません。
たくさんの企業が、資金調達に成功しています。

クラウドファンディングの対価の設定の仕方には、いくつかの種類があります。

  • 購入型
  • 寄付型
  • 融資型
  • ファンド型
  • 株式型

購入型
プロジェクト起案者は、支援の見返りに、独自の物やサービス、権利を支援者に提供します。
原価は、抑えながらも、魅力的でユニークな物やサービスを考案することが成功要因です。

寄付型
対価はありません。
プロジェクトの社会貢献の目的に共感してもらった人から、寄付を募る方式です。
プロジェクトが社会貢献を目的としているために、収益を確保することが難しく、対価の支払いが難しい場合に、採用されます。
活動の内容や収支は、インターネット上で公開されます。

融資型
利率も決まっており、資金の出し手には、金利が支払われ、元本も返済されます。
ですので、プロジェクト起案者は、資金計画をしっかりと練らないと、返済不能に陥る可能性があります。
返済不能となった場合には、相手は、個人ですので、責任をネット上で厳しく追及される恐れがあります。

ファンド型
出資者は、ビジネスが収益を生んだ場合には、分配金を受け取ることができます。
支援者のもらえる収益は、ビジネスが収益を生むかどうかに、依存します。

株式型
株式の発行により、支援者に会社の持ち分が与えられる方式です。
プロジェクト起案者の会社が、将来上場したり、M&Aをした場合には、大きなリターンを期待できます。

クラウドファンディングには、多くのメリットがありますが万能ではありません。
デメリットもあります。
支援者の共鳴を得るために、プロジェクト起案者は、アイディアの詳細をひろくインターネット上にさらすことになり、アイディアがまねされてしまうことがあります。
また、プロジェクトがうまくいかなかった場合には、ネット上で批判を受け、社会的信用が傷つけられるおそれもあります。

実際には、大半のプロジェクトは、十分な支援者を得られていません。
魅力や新鮮さにかけているためです。
ですので、資金計画は、資金収支が読みづらいクラウドファンディングだけに頼るのではなく、従来の創業融資も併用するべきでしょう。

general

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