協調融資により創業融資の融資額を大きくして高額融資を実現する

この記事を書いた人
工藤聡生

公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。

協調融資とは?

日本政策金融公庫の創業融資には、制度上の要件とはべつに借入の上限があります。
実質的な借入上限額は、1000万円ぐらいでしょう。
むろん、その金額を超えて貸してくれることも少なくありませんが、大きく超えることはなかなかありません。
その上限を超えると、貸してもらえなかったり、貸してもらえたとしても、保証人や担保を求められることもあります。
日本政策金融公庫としてもちょっとリスクが大きいという領域になってしまうのです。
しかし、創業計画書がしっかりとしており、かつ、自己資金、事業経験も問題ないが、必要借入額が1,000万円をはるかに超えてしまうことがあります。
こういった場合には、協調融資という制度を利用できる場合があります。
たとえば、2,000万円が必要だが、1,000万円は、日本政策金融公庫から借りて、残りは、自治体がバックアップする制度融資を利用して、信用金庫から貸してもらおうという取り組みです。
日本政策金融公庫としても、創業計画書の健全性は認めるが、1,000万円越えの融資のリスクを全部取りたくないので、ほかの金融機関にリスクを分散できるメリットがあります。

便利な仕組みですが、協調融資には、デメリットもあります。
協調融資の場合には、多くの場合、制度融資と併用となるので、時間がかかります。
制度融資は、日本政策金融公庫にくらべて審査に時間がかかるのです。
2ヶ月から、長いときは、3ヶ月ぐらいかかってしまうこともざらです。
さらに、協調融資では、二つの金融機関がお互いの出方を探る傾向があります。
相手の融資がおりたら、こちらも融資をするという条件をつけるのです。
そのため融資がおりるまでの時間がどうしても長くなります。

すくない自己資金を有効に使うためには、協調融資は積極的に使うべきですが、時間がちょっとかかる点を考慮にいれてスケジューリングをしてください。

同じ創業計画書で2重に融資をうけれることもある

実務的には、同じ創業計画書を使って、同一の資金使途に対して、同額の借入を日本政策金融公庫と、制度融資から借りてしまうということも多々起こっています。
協調融資と異なる点は、双方の金融機関は、借り手が他行からも同じ資金使途でお金を借りることを知りません。
創業計画書上も、ひとつの金融機関からしか融資を受けない内容になっています。
本来的には、許されない資金調達方法です。
意図して実施した場合には、明らかなコンプライアンス違反です。
ただ、どちらかに断られる可能性があるので、両方に申し込みをしていたら、たまたま両方とも融資が受けられたという、善意無過失の場合もあります。
その場合は、意図した行為ではないので、両方とも借りることもやむをえないと大目にみてもらえます。善意無過失なので、違法性を証明できないからです。

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