日本政策金融公庫の面接を受けました。落ちそうです。何か打つ手はありますか?

この記事を書いた人
工藤聡生

公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。

日本政策金融公庫の面接を受けました。
感触がよくありませんでした。
結果のことを考えると不安で夜も眠れません。
自己資金は、100万円で、融資希望額は600万円です。
事業経験は、10年以上あります。
事業計画は、堅めにつくったつもりです。
売上は、確実に稼げる額にしましたが、それでも、借金を返済して、ちゃんと生活をしていけます。
でも、担当者の対応はちょっとネガティブな感じでした。
不安でたまらなくなり、担当者に電話したところ、「自己資金が少ないので、返済計画が厳しい。いま、上司と検討しています。」と言われました。
さらに、「融資額は減らせますか?」と聞かれましたので、100万円ぐらいなら減っても大丈夫ですと答えました。
すでに事務所を借りるための敷金をはらい、設備投資も発注してしまいました。
人の採用も決まっています。
融資を受けられないと完全に資金ショートです。
不安で夜も眠れません。
どうしたらよいでしょうか?
いまとなっては、打つ手はないのはわかっているのですが‥

このまま放置しておいたら、おっしゃるとおりに厳しい結果になる恐れがあります。
融資希望額に比して自己資金がすこし少なめですね。
融資制度上の要件は、自己資金額はなくてもよいように規定されていますが、実際の内部の審査基準は異なります。
自己資金の乏しい場合は謝絶するように定められています。
担当者の回答の仕方からすると、このままでは、否決の可能性の方が高いように思われます。

日本政策金融公庫は、自己資金をとても重視しています。
自己資金の少ないかたは、創業後にたちゆかなくなることが多いからです。
ただ、最近は、自己資金の判断はあまくなっています。
以前は、自己資金の3倍弱程度が限界と言われていましたが、最近は、当事務所でも3~5倍の事例が頻繁に出ています。
それでも、6倍以上となると、かなり厳しくなります。

ただ、いくつかの有効な対策は、あります。

まず、可能なら、いまからでも自己資金の補強を図るべきでしょう。
開業準備のためにすでに使ったお金があれば、それを自己資金としてみなしてもらう方法があります。
いわゆるみなし自己資本による資本増強です。
領収書を集めて、説得力のある説明ができれば、自己資本として認めてもらえます。
みなし自己資金は、本来は、創業計画書に事前に織り込んでおく必要があるのですが、このケースでは、いまからでも主張すれば最後の微妙な裁量に好影響を与えるはずです。

親からの贈与、配偶者の資金、共同経営者を募って出資、不動産や車などの資産売却、株式売却、保険解約などの対応策もあります。


この場合は、計画作成のやりなおしにはなりますが、謝絶されるとほとんどの場合は、次の手がありませんので時間は要しますが実行するべきです。
謝絶されるまでは、手遅れということはないので、これらの手が使えるのであればご努力ください。
当事務所でも審査担当者から連絡をうけて、計画を作り直し、通したことは何度もあります。

さらに、10年の事業経験がおありになるので、営業実績をさらに積極的に売り込むという方法もあります。
売上実績、営業成績、表彰経験、顧客リスト、マスコミ記事など、営業力を売り込めるものがあればなんでも使ってください。
日本政策金融公庫には、自己資金にこだわらずに創業資金を貸し出せという圧力が経産省から、かかってはいますので、事業経験を客観的に強く売り込める資料があれば、突破できる可能性は実は飛躍的に高まるのです。
潜在顧客をうまくうりこめば、協調融資を活用する必要があるかもしれませんが、自己資金の6倍~10倍の調達も十分可能です。

以上の方法が適用できないのであれば、信用保証協会付きの融資を活用するべきでしょう。
日本政策金融公庫から融資を受けていない段階なので、同じ計画で同時に申し込んでも、審査上は問題ありません。
信用保証協会付きの制度融資をご活用なさるなら、起業家に理解がある信用金庫や信用組合を窓口にしてください。

以上の方法を組み合わせることにより、成功確率は、ぐっと上がるでしょう。

general

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