公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
創業計画書のサンプルが欲しいです。良いサンプルがなくて困っています。
- 創業計画書のサンプルが欲しいです。
良いサンプルがなくて困っています。
創業セミナーなどで、飲食店のサンプルはよく見かけるのですが、わたしが創業しようとしている業種には使えません。
私は、専門商社を起業する予定です。
営業マンを使ってルート開拓をするほかに、インターネットも使って販売します。
設立登記が終わったら、事務所を借りて営業スタッフを採用する予定です。
広告や販促ツール、ホームページ開設など、初期の営業経費は、500万円ほどかかります。
自己資金は400万円ほどです。
売上は、半年~1年かけて立ち上がっていくので、800万円ぐらいの借入は必要だと考えています。
すぐに使えるサンプルがあれば助かります。 -
日本政策金融公庫の記入例を参照されるのが一番でしょう。
ただ、日本政策金融公庫の方も認めていることですが、この記入例は、あまり出来がよくありません。
記入例通りに書いたら、謝絶されたという方も少なくないので、利用上の注意点についても解説しておりますので、合わせてご一読ください。
日本政策金融公庫の創業融資は、事業計画書のみの審査になるので、慎重に作成する必要があります。
コピペしたような事業計画を作ると謝絶されますので、ご注意ください。
その意味では、記入例を参照するのは、大切ですが、表現や数値をそのまま使ってはだめです。
創業計画書は、独自性がなければならないのです。
考えて作るのを面倒くさがって、創業計画書を業者に数万円で作ってもらう方もいますが、定型フォーマットを使った創業計画書は、似たような作りになってしまっていますので受けが良くありません。創業計画書を作るときには、あらゆるの数字の根拠を明確にしてください。
売上は、元となる収益のドライバーを予想して、そこから売上を計画してください。
主な業種について例を上げます。- 小売業 (坪当り売上高)×(店舗面積)=(売上高)
- レストラン (客単価)×(席数)×(回転数)=(売上高)
- 商社 (営業マンひとりあたりの売上)×(営業人員)=(売上高)
- 製造業 (主要な設備の生産能力)×(設備の台数)=(売上高)
広告費も、インターネットのPPM広告、雑誌広告、新聞のちらし、街頭での手配りでコストは違ってきます。
広告手法を明確にして、詳細に費用を積み上げてください。
ホームページもデータベース機能、決裁機能、SEO対策などの有無によりコストは変わってくるはずです。
事務所の保証金については、物件の概要がわかる資料を添付してください。
スタッフ給料についても総額だけを記載するのではなく、スタッフごとの役割を明確にした上で、人員別給料、採用時期を明らかにする必要があります。
要するにビジネスの青写真を詳細に描いて、収益と費用を積み上げていく必要があります。
事業の流れを明確に詰めて、それに基づいて詳細な収益、費用の見積もりをつくり、創業計画にしてください。
業種は、細かくわければ1000種類以上あります。
しかも、あらゆるビジネスはユニークです。
事業の在り方は、人によって違ってくるので、まねできる完全な記入例は存在しないのです。
ですから、記入例はあくまで参考にしかできません。また、損益の計画だけでなく、資金繰りの計画も必要です。
あらゆる融資審査では、資金の使途と返済財源が重要な審査ポイントだからです。
創業融資も例外ではありません。
ちなみに、損益と資金は似て非なるものです。
典型例は、予備在庫と設備投資です。
両者ともに、直接には費用にはなりませんので、損益には影響は与えません。
在庫は売れる時、設備は減価償却を通じてのみ、費用化します。
しかし、両者ともに購入した時点で資金繰り負担は発生します。
資金繰りと損益は異なるのです。
ですから資金繰りの計画も必要です。
資金繰り表で、資金の使途と返済計画を明瞭にする必要があります。
この二つを明確にしないと、審査担当者の心証は悪くなります。
サンプルをご参照ください。創業計画書には、損益の計画と、資金の計画の二つを添付してください。
ちょっと面倒くさいですが、経営者はこの二つに同時に注意を払わなければならないので、経営の勉強だとおもって、頑張ってご作成ください。
損益計画と資金繰り計画の二つを添付して、面談で概要だけでも説明できれば、審査担当者の心証は、本当にぐっとよくなります。
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