公認会計士・税理士
元銀行員、20年にわたり、創業融資、銀行融資、VCからの資金調達を支援てきました。資金調達の累計額は、100億円以上です。
日本政策金融公庫と制度融資は、どちらが得か?
とにかく創業融資は借りるべき
創業融資を使えば、低金利で資金を確保して、人、物といった経営資源を確保できます。
金利は1~2%前後と安いので、利益を出すのは難しくありません。
放漫経営をしない限りは、金利を上回る利益を確保できるでしょう。
金利を上回る利益のうち、半分を返済にあて、残りを貯蓄すれば、富をより早く蓄積することができます。
創業融資は金利が低いので、利益増大効果が金利を上回り、はやくキャッシュを増やせるのです。
日本政策金融公庫か、信用保証協会付きの制度融資か
創業融資には、2種類があります。
日本政策金融公庫の創業融資と、信用保証協会が信用供与する制度融資です。
創業者は、どちらの公的な金融機関を選ぶべきでしょうか?
二つを利用するという裏技もありますが、そこまで資金が必要でなければどちらかを選ぶことになります。
どっちを良いのでしょうか?
ネットで検索しても、ずばり答えている記事はありません。
起業家は、創業時のつまずきは、避けたいはずです。
資金調達に失敗すれば、人、物といった経営資源は確保できず、事業そのものを立ち上げられないからです。
よい方を選択したいものです。
私見ではありますが、お答えします。
答えは、日本政策金融公庫です。
借入額について
借入額は、両者ともに、自己資金の2~6倍です。
ただ、制度融資を活用される方は、市区町村の制度融資を利用したがります。
利子補給や信用保証料の補助が厚いからです。
しかし、市区町村の制度融資は、資金量が限られているので、借りられる金額が、小さくなってしまう傾向が確実にあります。
借りられる金額が小さいということは、十分な経営資源が確保できずに利益を生み出せなくなる可能性が生じるということです。
わずかな金利を惜しんで事業に必要な資金を確保できなければ、本末転倒です。
結論としては、借入可能額は実はどちらも自己資金をベースに制約されているので、大差はありません。
借りられるまでの期間
また、制度融資は、着金までのスピードが遅いという大きな欠点があります。
日本政策金融公庫と比較すると、融資実行が、2ヶ月以上、遅れることがあります。
2ヶ月、創業が遅れれば、2ヶ月の間、売上機会を喪失します。
予想月間売上を2倍にしてみてください。
売上がたたない間も固定費が発生しますので、損失は大きくなります。
金利をはるかに上回る厖大な損失となります。
金利
次は、金利についてです。
市区町村の制度融資は、利子補給や信用保証料の補助があるので、一見すると金利が安いような印象を与えますが、実質的な負担総額を、日本政策金融公庫の金利と比べると一概にどちらが有利とは言えません。
日本政策金融公庫の場合は、利子だけで信用保証料が不要です。
ともに、創業者の経営の足をひっぱらない程度に、十分に低く金利は設定されています。
無担保、無保証
さらに、日本政策金融公庫の創業融資の魅力は、なによりも、無担保、無保証であることです。
会社がつぶれたら、経営者個人は、借金は返さなくともよいのです。
制度融資も、この点についてはキャッチアップし、一定の要件を満たせば、無担保、無保証となります。
無担保、無保証という観点からは、両者に遜色はほとんどないでしょう。
審査の厳しさ
審査の厳しさは、当社の場合はネットワークがあるので日本政策金融公庫の方が創業者にやさしいと思っていますが、一般論としては甲乙はつけがたく、どちらの方が、融資がおりやすいとは断言ができません。
そもそも、創業融資の審査のレベルは、人や支店によって変わりますので断定が困難なのです。人によるというのが答えです。
裁量基準が極めて複雑で、行政の場合と違って謝絶理由を裁量基準と結び付けて回答する義務がないので、担当者により差ができてしまうのです。
担当者によりかなり難易度が違うので創業者に理解のある支店や担当者の情報があれば、それを活用してください。ただ、担当者は定期的に移動するので〇〇支店が創業者に理解があるという情報が、いつ時点の情報かに注意する必要があります。
結論的には、担当者によるというのが答えです。
二つをうまく組み合わせる
創業資金は、まずは必要期間の短い日本政策金融公庫ですばやく無保証で調達するべきでしょう。
ただ、制度融資も追加融資で活用するべきです。
より早く借りれる日本政策金融公庫の創業融資で実績をつくり、信用をつけ、追加的に必要な資金は、ちかくの創業融資に積極的な信用金庫で、保証協会付き融資で調達するのです。
日本政策金融公庫から創業融資に成功すると、信用がつくので、ほかの金融機関でお金が借りやすくなります。
追加融資で利用しようと思っている信用金庫に口座を作り、そこに日本政策金融公庫からの融資額を着金すれば、それも信用を上積みすることになりますので、さらに評価を上げることができます。
結論的には、日本政策金融公庫で借りて信用をつけ、制度融資は追加融資で利用すべきでしょう。
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